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漢方を活かす食養生 No.7 脳を元気にしましょう

公開日:2020.04.06
カテゴリー:漢方ニュース
 食養生とは、健康を保ち長寿を全うするために、日常よく使う食材の性質や働きを知り、健康のために効果的な食生活を送ることです。食養生では、食物を体を冷やす順に寒、涼、平、温、熱で表す「五性」という考え方と、酸味、苦味、甘味、辛味、塩味に分ける「五味」という考え方に基づいて食材をとらえます。
 ここでは、食養生を実践するためのレシピや、食養生と漢方の関係について、水嶋クリニック院長で東洋医学研究所所長の水嶋丈雄先生が解説します。

 認知症の方が増加している昨今ですが、高齢化社会では避けられないことなのでしょうか。今回は、検査を受けたところ短期記憶低下が発覚し、漢方治療を希望して来院された方の例を食事療法とともに紹介します。

 56歳男性は、1年前から短期記憶の低下を指摘され、最近では前日の食事も思い出せないということでした。近くの総合病院で検査を受けたところ、認知機能を測るMMSE(ミニメンタルステート検査)では30点中20点で、認知症が疑われました。また、脳の萎縮も認められました。

 ふだんは、足は冷えずむしろ熱く、夜間は布団から足を出して寝ているとのこと。

 漢方薬は加味帰脾湯(かみきひとう)を処方しました。

 「食事は何を食べればいいでしょうか」と質問されましたので、脳を刺激する食事をおすすめしました。脳神経を刺激する食事が認知症にはよいとされています。実際、きのこの一種であるヤマブシタケは、脳神経細胞のグリア細胞を伸張することが知られています。また、以前よりよく知られているDHAやEPAが豊富に含まれる魚は、脳神経細胞の血流をよくします。漢方では、脳は「奇恒の府(きこうのふ)」といわれ、腎経や肝経に関係するとされています。酸性の食品やミネラルを多く含んだ食品がよいといわれていて、魚や大豆、納豆、オリーブオイル、カカオ、ココナッツオイル、セロリ、ビーツ、ブドウ、さらにヤマブシタケやしいたけなどのきのこ類、そしてカレーなどが脳神経細胞を刺激する食品です。

 そこで今回の患者さんには、以下のような料理を紹介しました。

まぐろのカレー風味ハンバーグ

材料
生マグロ 200g
にんにく 1片
しょうが 5g
長ねぎ 10cm
カレー粉 小さじ2
小さじ1/3
にら 1葉
適量
作り方
  1. まぐろは細かく刻む。にんにく、しょうがのすりおろしと長ねぎのみじん切り、カレー粉、塩を手で混ぜ合わせ、4個の小判型にまとめる。
  2. フライパンにうすく油をひき、両面をこんがり焼き、にらをゆでてから加える。
  3. ※詳しい作り方は文献1)に記載されています。

 そして、もう一品。

秋刀魚のぬた

材料
秋刀魚 4尾
80cc
◇味噌酢
 味噌 大さじ3
 酢 大さじ1.5
 砂糖 大さじ1
 練りからし 小さじ1/2
 みりん 大さじ1
作り方
  1. 秋刀魚は3枚におろし、酢に15分つけておく。
  2. 秋刀魚の表面の薄皮をむいて、スライスする。
  3. 味噌酢を混ぜ合わせ、つけて食べる。
  4. ※詳しい作り方は文献1)に記載されています。

 以上のような料理を作っていただき、1年間食べていただきました。すると、1年後にはMMSEは29点になり、昨日の食事を覚えていられるようになりました。男性は今も食事療法と漢方治療を続けています。

文献
  1. 水嶋丈雄ほか. 食べて元気になる 漢方ごはん. 信濃毎日新聞社, 2008, p.105-106.

(本記事は医療関係者向けサイト漢方スクエアに掲載された記事を元に、一般読者向けに再編集しております)

水嶋丈雄(みずしま たけお)先生
医療法人 水嶋クリニック 院長/NPO法人 東洋医学研究所
医療法人水嶋クリニック院長、NPO法人東洋医学研究所所長。
1981年大阪医大卒。1978年より麻酔科兵頭教授に師事、鍼灸治療を学ぶ。1998年長野県佐久市内に水嶋クリニック・東洋医学研究所開業。2010年WHO伝統医学部門委員、日本東洋医学会評議員、2012年日本プライマリケア学会認定医、2014年厚労省保険部会外部諮問委員。著書に『花粉症・アレルギーを自分で治す70の知恵』(主婦の友社)、『鍼灸医療への科学的アプローチ』(三和書籍)など多数。

食べて元気になる 漢方ごはん
解説:水嶋丈雄
料理:横山タカ子
撮影:山浦剛典
発行社:信濃毎日新聞社(https://shinmai-books.com/)

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