フレイルを予防するために必要なこととは?

[漢方ニュース] 2020/03/27

 2019年12月26日、文京シビックホールにて第22回市民公開漢方セミナーが開催されました。今回は『みんなで考える健康長寿と漢方』と題し、東京大学大学院医学系研究科老年病学(老年病科)准教授の小川純人先生が講演を行いました。

介護や寝たきりの原因となるフレイル

 超高齢社会を迎えた日本で、注目されているのが健康寿命です。健康寿命とは、介護を受けたり寝たきりになったりせずに、日常生活を送れる期間のことをいいます。2014年の厚労省の調査では、平均寿命と健康寿命の差は、男性で9.13年、女性で12.68年と開きがあります1)。介護が必要となったり、寝たきりになる原因のひとつにフレイルがあります。

 フレイルとは、英語の「Frailty」が語源となった言葉で、加齢により、心身が老い衰えた状態のことをいいます。日本老年学会/国立長寿医療研究センターが発行した『フレイル診療ガイド 2018年版』2)では「要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する」とされています。健康な状態と介護が必要な状態の間の段階がフレイルです。高齢者は特にフレイルになりやすいことがわかっています。

フレイルの予防には運動や食事、漢方薬を

 要介護リスクを高くしてしまうフレイルですが、可逆性という特徴も持っているため、健康な状態に戻ることも可能だと小川先生は言います。フレイルには、タンパク質の摂取や、毎日の運動習慣などで筋肉量を落とさないようにすること、また日光浴をすることなどが対策となります。さらに、漢方薬もフレイルには有効だといいます。

 フレイルは、漢方医学でいう「腎虚(じんきょ)」の状態です。腎とはもともと、その人が生まれながらに持っている生命力のこと。現存する中国最古の医学書『黄帝内経 素問』にも、腎虚によって起こるとされる症状について、脱毛や白髪、健忘、睡眠障害、難聴、腰痛、骨粗鬆症、排尿障害、下肢の冷え・だるさ、皮膚の乾燥など、フレイルの症状とよく似た症状が書かれています。
小川先生は、「フレイルには、補剤と呼ばれる、補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 人参養栄湯(にんじんようえいとう) 牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) などの漢方薬が有効」と紹介しました。

参考

  • 1)厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会・次期国民健康づくり運動プラン策定専門委員会「健康日本21(第二次)の推進に関する参考資料」p25
  • 2)長寿医療研究開発費事業(27-23):要介護高齢者、フレイル高齢者、認知症高齢者に対する栄養療法、運動療法、薬物療法に関するガイドライン作成に向けた調査研究班編:フレイル診療ガイド 2018年版. ライフ・サイエンス, 2018
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