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植物由来製品・青黛「有害事象は内服した期間や量を問わずに起こる可能性」

[漢方ニュース] 2018/05/30

潰瘍性大腸炎患者の一部が服用も


青黛の原料のひとつ、ホソバタイセイ

 リュウキュウアイ、ホソバタイセイなどから抽出され藍染の染料に使われている植物成分・青黛(せいたい)。中国では古くから、潰瘍性大腸炎に対して使われており、「青黛を含む漢方薬」として紹介されることがありますが、正しくは「漢方薬」ではなく、生薬の1つで、国内では健康食品と同じ分類の植物由来製品とされています。

 慶應義塾大学医学部を中心とした医師による多施設の臨床研究で、青黛が、潰瘍性大腸炎の症状が消える臨床的寛解率、粘膜治癒率が、プラセボ(偽薬)と比較して明らかに高いことが報告されています。基礎的な研究からインドール化合物が潰瘍性大腸炎で傷ついた粘膜を直す作用があることがわかっています。潰瘍性大腸炎に対する青黛の効果は青黛に含まれるインドール化合物のインジゴ、インジルビンによるものと考えられています。

 青黛は、潰瘍性大腸炎の患者が自分で入手して服用しているケースもありますが、肺動脈性肺高血圧症という重大な副作用があることも知られています。肺動脈性肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る肺動脈の血圧が異常に上昇し、息苦しさなどの症状を訴える病気で、時には死の危険性もあります。この点について厚生労働省も注意喚起を行っています。

 これまでに青黛の副作用の実態についての研究報告はほとんどありません。そのようななか、先ごろ開かれた第104回日本消化器病学会で、慶応大学医学部消化器内科の福田知広医師らが、青黛の服用経験がある患者での有害事象の実態を報告しました。有害事象とは、薬剤などの服用中に起こった、薬剤などとの因果関係が否定できない好ましくない現象のすべてを指します。有害事象のうち薬剤との因果関係が明確になったものが副作用です。

全体の4割で有害事象が確認

 研究で福田医師らは慶応大学医学部消化器内科に通院中の潰瘍性大腸炎の患者98人で青黛の有害事象を調べました。この結果、青黛による有害事象は全体の4割を超える44人で確認されました。1人で複数の有害事象が認められたケースもあるため、実際の有害事象例は68例です。もっとも多かったのが、肝機能値が異常値を示す肝機能障害の22例でした。それ以外は腹痛が16例、頭痛が11例、吐き気が7例、非特異性腸炎が5例、下痢が3例、感染性胃腸炎、腸重積(腸管の一部が後方の腸管に引き込まれ、腸管が重なりあってしまう症状)、肺動脈性肺高血圧症がそれぞれ1例でした。

 肝機能障害については、ほとんどが青黛服用から8週後までに発生していました。重症化した事例はなく、うち16例では青黛の服用をそのまま続け、6例では中止しましたが、いずれでも肝機能値は後々正常化しました。

 肺動脈性肺高血圧症の1例では、青黛を1日2g服用して、4か月目に頭痛が現れたため1日1gに減量。その後、心電図異常や息切れといった症状が認められ、青黛服用開始から6か月目に検査で肺動脈性肺高血圧症と診断され、青黛の服用を中止しました。服用中止から5か月後に肺動脈の血圧値は正常値に回復しました。

 今回の研究から福田医師は「青黛の有害事象は内服した期間や量を問わずに起こる可能性がある」と述べ、医師から潰瘍性大腸炎の患者に青黛の服用に伴う危険性を十分に伝達する必要があると強調しています。(村上和巳)

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