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認知症の人の思いから始めるまちづくりとは?

[漢方ニュース] 2016/03/16

 認知症を自分自身のことと考えたとき、地域や暮らしはどうあるべきか。認知症の本人の声、思いから地域を見つめ、まちづくりに至るまで語りあう「地域カンファレンスin群馬 認知症の人の思いから始めるまちづくり」が3月6日、群馬県前橋市のベイシア文化ホールで開催されました。会場には多くの方が訪れ、開場時間を30分早めると、すぐに席が埋まるほどの盛況ぶり。第一部では「認知症の人の思い」「暮らしを支える医療」について、第2部では「これからの“まちづくり”」について率直な意見が交わされました。

認知症を正しく理解し、本人の思いを理解する

 まず、認知症と診断された本人である、高橋行男さんが登場し、その思いを語りました。高橋さんは高崎市内に夫婦2人で暮らしていた2年前に認知症と診断されました。同時期に認知症と診断された妻は介護施設に入り、2人は離れ離れに。介護施設のすぐそばの団地に暮らす高橋さんは夫婦での暮らしを取り戻したいと考えています。そうした高橋さんの思いを受けて、医療や暮らしを社会と人のつながりについて」をテーマに語り合いました。

身体の症状を治すことで、心の症状が収まる場合がある

 医療法人あづま会大井戸診療所院長の大澤誠先生は、認知症の人の心と身体に起こっていることを解説しました。「認知症の方は、不安や焦燥、イライラや怒り、うつなどの心の症状と、便秘や頻尿、食欲不振、不眠などの身体の症状が同時に現れています。ところが、身体の症状を治すことで、心の症状が収まる場合があるのです」と、認知症の人の身体症状に注目する必要性を語りました。

漢方薬は、体全体のバランスを整える作用があり、身体症状を改善

 続いて、群馬大学大学院保健学研究科 リハビリテーション学講座教授の山口晴保先生が認知症の薬物療法について解説しました。
 「認知症の進行を遅らせる薬に抗認知症薬があります。抗認知症薬をのむことで、自発性や集中力が高まることが分かっています。ところが、同時に、感情が表に出やすくなってしまったり、食欲不振などの身体症状が出る場合があります。その時によく使うのが漢方薬です」と語り、認知症でよく使われる漢方薬の代表例として、イライラや不眠を和らげる抑肝散(よくかんさん) 、身体症状の食欲不振の改善に人参養栄湯(にんじんようえいとう) 六君子湯(りっくんしとう) 、嚥下障害に半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) などを挙げました。「抑肝散はもともと疳の虫や夜泣きなどに使われる漢方薬で、“母子同服”といって、お母さんにも子どもにものませていました。家族に認知症の人がいると、本人だけでなく、家族もイライラしがちになります。そうした時に、抑肝散は良い漢方薬だと思います。認知症の人は、自分が困っている症状を訴えることができませんので、家族や介護者の方は専門医に身体の症状についても相談してください」(山口先生)

 さらに山口先生は、薬物療法に加えて、人との交流やリハビリテーションの重要性を説きました。「地域の人と交流することで、共感や役割、日課が生まれ、それを通して、不安や混乱、妄想や徘徊が減少します」(山口先生)

 認知症の治療における漢方薬の役割、そして社会参加の重要性について、会場に集まった皆さんは大きくうなずいていました。

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