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高齢者の身体合併症 漢方ではどう治療する?(1)「便秘」「尿失禁・排尿障害」

[漢方ニュース] 2016/01/22

 高齢者では、同時にさまざまな疾病や愁訴を合併します。これは「身体合併症」と呼ばれるものです。特に気を付けたい身体合併症とその治療について解説します。

便秘

 慢性便秘は一般的に排便回数(週3回未満)や排便量が減少したり、残便感や腹部膨満感、排便時の強いいきみなどの症状を呈した状態のことを指します。慢性便秘はQOLが低下してしまうと共に、人間が健康だと感じる三要素(快眠・快食・快便)をも損ないます。

西洋医学では?

 便秘薬・下剤を使用します。下剤には、腸の粘膜を刺激して腸の運動を高める「刺激性下剤」と便を軟らかくし「かさ」を増やし排便をうながす「機械性下剤」の二種類があります。また、膨張性下剤は、即効性はありませんが、生理的な排便に近いので、高齢者などの便秘にも安心して用いることができます。便秘薬や下剤は、安易な連用をすると体制・習慣性・依存性が生じ、快便が得られなくなってしまう場合があります。

漢方では?

 主に大建中湯(だいけんちゅうとう) 大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう) 潤腸湯(じゅんちょうとう) 麻子仁丸(ましにんがん) が使われます。これらの漢方薬は、便秘に有効な「大黄(だいおう)」という成分の含有量の違いで大腸刺激作用の強弱を選択できたり、大黄を含まない漢方薬でも便秘や腹部膨満感など関連症状の改善が認められており、患者さん一人一人にあったお薬を服用することが可能です。 大建中湯には、消化管運動の亢進作用、腸管の血流を増加させる作用や炎症を抑える作用などがあり、腹痛や腹部膨満感を改善します。

尿失禁、排尿障害

 排尿障害は、尿が溜められずに漏れる(蓄尿障害)、尿が出にくい(排尿障害)、トイレが遠くて間に合わないで漏らす(機能性尿失禁)、また 排尿の回数が多い、特に夜間にトイレにいく回数が多い(頻尿)があります。

西洋医学では?

 膀胱が勝手に縮もうとする反射を抑え、膀胱の容量をふやす抗コリン剤や尿道をひき締め、膀胱を緩める働きあるα・βアドレナリン受容体刺激薬が使用されます。ただし、抗コリン薬にはのどの渇き、ふらつき、便秘などの副作用が出現するという問題があります。

漢方では?

 主に牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) 猪苓湯(ちょれいとう) 猪苓湯合四物湯(ちょれいとうごうしもつとう) 清心蓮子飲(せいしんれいしいん) が使われます。漢方では、排尿障害の症状を全身症状の一つの徴候ととらえて、体内の水分の偏在や水分の代謝異常(水毒)、性ホルモンの生理的な減少(腎虚)、血液の停滞・循環不全(お血)などの全身状態の不調を総合的に判断して治療します。排尿障害など尿路不定愁訴は漢方薬が得意とする分野です。牛車腎気丸は、膀胱の収縮頻度を抑制し、頻尿や膀胱の知覚過敏状態を改善し排尿痛や残尿感を改善します。

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