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平田ペインクリニック 平田道彦院長

公開日:2014.09.17
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

驚きの効果から漢方の道へ

 当院で漢方薬を処方しはじめて15年になります。ですが以前はむしろアンチ漢方の一人で、漢方医学をやっている人達がまったく理解できませんでした。そんな私が漢方に目を向けたのは、ある時、ほとんど通常の薬が効かない患者さんに出会ったのがきっかけです。
 帯状疱疹後の神経痛を患う80代前後の男性を診たときのことです。大抵神経ブロックを行えば症状はおさまるのですが、この方にはまったく効きませんでした。理由がさっぱりわからないうえ、身体は衰弱していくし、物は食べられないしで、どうしようかと思っていた時に、文献だけを頼りに、何もわからないまま麻黄附子細辛湯を処方してみたのです。
 するとこれが劇的に効きました。驚くほど効いて、完全に治ってしまった。それまで寝たきりだったんですが、すぐにベットから起きて立ち上がって・・・。昨日までのあなたは何だったんですか?という感じです。それから、1週間ほどで退院されました。
 これを経験して、漢方薬っていったい何なんだろうと素朴に思ったのがきっかけです。その後少し勉強しようと思って調べたら、比較的近くに漢方薬の師匠がいらしたので、その先生に弟子入りしました。その先生は非常に厳しい方で、2年間くらいものすごく勉強させられました。

人間は心の動物

 漢方をやっていると、ストレスからくる失調がいかに多いかがよくわかります。当院に来る患者さん達は、いろんなことを言って来られます。例えば、神経痛がなかなか良くならない。中には、湿疹がどこの病院にかかっても治らないと、来られる方もいらっしゃいました。もちろん皮膚炎に効く漢方薬を出すのですが、それだけでは良くなりません。どうもストレスからきているのではないかということで、それに対処する薬を併用すると、早く治ったりします。
 昨今、学校でいじめに遭っているとか、職場の上司とうまくいかないといったストレスを抱えている人によく使うのは抑肝散で、非常によく効きます。それを飲んでいただきながら、冷え性なら冷え性、痛みなら痛みの治療を一緒に進めていきます。ですから、人間がいかに心の動物であるかを痛感します。これは、漢方をやっていなかったらなかなか見えなかったことかもしれません。
 ストレスに対処するには、加味逍遥散や抑肝散、四逆散、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝乾姜湯などを使います。こういったものは、漢方の教科書の中では神経症や不眠症の薬として紹介されていますが、現代的に言えば抗ストレス薬です。使うとリラックスできるようになりますし、血流が良くなって、いろんな所が良くなります。ストレスを受けた時には、下痢をしたり不眠になったりと、人によって身体に出てくる症状が違うので、そこを捉えるのが漢方です。その人の性格や症状、体質に合わせて処方するので、皆、同じ薬ではありません。そこが西洋薬と違うところです。最近では、どういう訳か全身がかゆいという50代の婦人が来院されました。そこで、加味逍遥散と温清飲を処方したところ、ステロイドなしで良くなられました。私のところでは、西洋医学だけでの治療は滅多に行わず、9割以上の患者さんを漢方薬で治療しています。

西洋医学に対する漢方医学の応用を

 私が学んでいる漢方薬というのは、恐らく全ての漢方薬の中で1割にも達していないと思います。ですから、もっと研鑽を積みたいと思っています。それから、研鑽を積んでいないながらも多少教えられる部分もあると思いますので、教えられる部分は教えていきながら、輪を広げていきたいと思います。
 漢方医学というのは、言ってみれば経験を積み重ねてできた医学です。例えば、首の骨が7本あるとか、西洋医学の知識でわかるようになったこともたくさんあります。ただ、西洋医学で仕組みがわかっても、じゃあそれからどうするのかというと、答えが出ないこともあります。ですから、漢方医学的な見方で、もう一度見直してみなければならないと思います。西洋医学に対する漢方医学の応用、それが私の今後のテーマです。これは、西洋医学と漢方医学のどちらも学んだ人間でないと見えてこない世界です。可能性は大きいと思います。
 西洋医学で治らない患者さんには、一度は漢方薬を試してみられることを強く薦めたいと思います。自分の身体と心の状態を、一度漢方医学的に把握してもらうのはいいことです。自分の体質や、良くない生活パターンなどを指摘してもらえるので、病気を未然に防ぐこともできます。他にも、医師同士のネットワークは、医師のためにも患者さんのためにもなりますので、ぜひ作っていきたいと強く願っています。

平田ペインクリニック

医院ホームページ:https://www.e-tao-hirata.net/

広い待合室には、水槽や植物が置かれ、ゆったりとした空間がある。
建築雑誌にも紹介されたという建物には、院長の「入ってきた瞬間から診療」との思いがうかがえる。(写真左:医院提供画像)
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

麻酔科、漢方内科

平田道彦(ひらた・みちひこ)院長略歴
1958年 福岡県生まれ
1985年 佐賀医科大学医学部附属病院 麻酔科助手
1991年 唐津赤十字病院 麻酔科医師
1993年 唐津赤十字病院 麻酔科部長
1998年 佐賀医科大学医学部附属病院  麻酔科蘇生科助手としてペインクリニックを研修
2000年 大分県済生会日田病院 麻酔科医長、手術部長
2003年 大分県済生会日田病院 麻酔科部長、救急部長
2004年 大分県済生会日田病院 医療技術部長
2004年 大分県済生会日田病院院長補佐
2006年 平田医院 副院長
2007年 同 院長
2009年 8月17日 平田ペインクリニック院長
■漢方歴

2000年より織部和宏先生(大分市、織部内科クリニック)に師事。
2004年よりは山田光胤先生に師事。山友会門下生となる。
2008年 東洋医学会福岡県部会 副会長
2009年 東洋医学専門医取得
2009年から2013年4月 東洋医学会福岡県部会 会長
テーマは疼痛性疾患と漢方治療

■資格・役職

麻酔標榜医、日本ペインクリニック学会認定 ペインクリニック専門医、日本東洋医学会認定 漢方専門医、日本疼痛漢方研究会評議員、漢方浪漫倶楽部 キャプテン

■著書

今日から実践「痛みの漢方治療」(医歯薬出版/共著)、西洋医学的難治症例に対する漢方治療の試み(たにぐち書店/共著)、運動器のペインマネジメント (整形外科臨床パサージュ)(中山書店/分担執筆)、「冷え」と漢方治療 織部和宏編(たにぐち書店/分担執筆)、痛みのScience & Practice 2 “痛みの薬物治療” 漢方薬 選択の参考所見(文光堂)

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