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体質改善で、味覚と処方が変わった、重い生理痛に悩む主婦

公開日:2011.09.06

体質改善で、味覚と処方が変わった、重い生理痛に悩む主婦

 高校生の頃から生理痛がひどく、生理の時には意識を失うこともしばしばあったと言う31歳の主婦。子宮内膜症と卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)で産婦人科に通っている。生理痛がひどいことと、生理のたびに貧血になり立ちくらみがするということ、また最近生理の前後に頭痛がするということで、漢方薬を試すことになった。
 初めにエキス剤の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) を1日3回、生理の3日前から内服するようにしたが、臭いが気になる上に効果を感じないと言われてしまった。
 “過多月経に伴う貧血”をキーワードにエキス剤のきゅう帰膠がい湯(きゅうききょうがいとう) を処方したところ臭いや味は気にならないが、生理痛はあまり楽にならないと言われた。そこで、最近疲れやすいという訴えもあったことからエキス剤の十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) を生理の3日前から1日3回内服するように変更した。また生理の間は非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)を頻回に服用するというので、エキス剤の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) の頓服も併用するように伝えた。
 この処方は実に有効であった。生理前後の頭痛が消失、生理痛もかなり楽になり、ほとんどNSAIDを飲まなくてすむようになった。また最近は疲れた感じがしても無理できるようになったとのことであった。生理に伴う腹痛、腰痛については今までNSAIDで楽にはなっていたが、スッキリはしなかった。しかし芍薬甘草湯を併用するようになってからは、自分が生理中であることを忘れるくらい楽になったらしい。「この薬を飲むのを忘れて生理になると、やっぱり激しい腹痛と腰痛が起きてしまって、とても後悔するんです。」と言うくらい効き目があった。
 そんな服用の仕方で半年ほどたったころ、本人から「以前は美味しく感じていたはずの十全大補湯が最近は甘ったるくて飲みたい感じがしない。」と言われた。この訴えは患者さんの体が既に十全大補湯の体ではなくなったのだと判断し、代わりに当帰芍薬散を生理の3日前から生理期間中にかけて、1日3回内服するように伝えた。すると不思議なことに、以前は臭いが気になり効果も無かったはずの当帰芍薬散が、今はまずくないし効果も感じると言う。生理痛も、生理前後の頭痛も、なくなった。
 「この薬が体に合っているみたい」と現在も内服を継続している。
 定期的に経過観察されている卵巣嚢腫については、今のところ大きくならずに経過観察されている。

堀口定昭(ほりぐち・さだあき)先生
愛世会愛誠病院・下肢静脈瘤センター
2002年帝京大学医学部卒業、2008年より愛誠病院にて血管外科医として勤務しながら整形外科と漢方を学ぶ。
血管外科の外来で漢方薬を使うようになってから、本格的に漢方を学ぶようになり、2010年より血管外科と漢方内科を兼務。
日本外科学会専門医、日本脈管学会専門医。

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