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【牛車腎気丸】FOLFOX療法による副作用、末梢神経障害の予防/論文の概要

公開日:2013.02.22
カテゴリー:特集・漢方の実力

論文の概要

<論文タイトル>
FOLFOX療法による治療を受けた患者における神経障害に対する牛車腎気丸の効果
The Kampo medicine, Goshajinkigan, prevents neuropathy in patients treated by FOLFOX regimen. Nishioka M. et al. Int J Clin Oncol. Jan 22, 2011.
目的
進行・再発大腸癌患者で、オキサリプラチンにより引き起こされる末梢神経障害に対する牛車腎気丸の効果を検討する
試験デザイン
無作為化並行群間比較試験
セッティング
徳島大学医学部附属病院
対象
2007年1月から2009年12月までにmFOLFOX6を施行された進行・再発大腸癌患者45名。登録患者はECOGパフォーマンス・ステイタスが0~2で、骨髄機能(白血球数4000/mm3以上、血小板数10万/mm3以上)、肝機能(血清総ビリルビン値<1.5mg/dl)、腎機能(血清クレアチニン値<1.5mg/dl)、心機能がいずれも正常であることが条件。神経障害の既往歴、糖尿病、アルコール性疾患、脳病変がある患者は除外。
介入
対象者をmFOLFOX6療法の施行に牛車腎気丸1日7.5gを投与したGJG群(22名)と牛車腎気丸を投与しないコントロール群を設定。GJG群では牛車腎気丸1日投与量7.5gを2~3回に分けて食前あるいは食間に服用した。
主な評価項目
主要評価項目:グレード3の末梢神経障害の発現率
副次評価項目:各治療コースでのグレード2とグレード3の末梢神経障害の発現率、神経障害以外の副作用発現率、mFOLFOX6療法に対する腫瘍の反応性
結果

2群間で患者背景、mFOLFOX6療法のコース数、累積投与量の中央値に有意な差は認められなかった。グレード3の末梢神経障害の発生頻度はGJG群が有意に低かった(p<0.01、Log-rank検定)。mFOLFOX6療法による治療経過中のグレード3の末梢神経障害発生率は、10コース後でGJG群0%、コントロール群12%、20コース後でGJG群33%、コントロール群75%。各治療コースごとのグレード2とグレード3の末梢神経障害の割合はコントロール群に比べGJG群で低率だった。末梢神経障害以外の有害事象は主に好中球減少、悪心、下痢だったが、両群間で発生率に有意差はなかった。また、mFOLFOX6療法の奏効率は GJG群68%、コントロール群57%、病勢安定例も含めた疾患制御率はGJG群91%、コントロール群92%でいずれも両群間で有意差はなかった。

結論
牛車腎気丸はmFOLFOX6療法を施行中の進行・再発大腸癌患者での末梢神経障害を他の有害事象や治療効果に影響を与えることなく軽減でき、末梢神経障害の予防に有用である。

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