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【婦人科専門医が解説】痛みがなくても月経に異常がないかチェック、月経不順

[症状別得意分野] 2017/12/15

正常な月経の目安とは

 月経不順は放置しておくと将来不妊症になる場合もあります。何かおかしいと思った人は基礎体温をつけると良いでしょう。婦人科専門医に受診をして超音波で子宮や卵巣の異常がないかどうかを確認してもらうことも大切です。一番避けてほしいことは放置することです。何もメリットがありません。

 自分の月経が異常なのかどうかを知るために、まず正常な月経について知っておきましょう。

<正常な月経の目安>

  • 月経周期…………25~38日
  • 月経周期日数……3~7日間
  • 出血量……………20~140ml
  • 初経年齢…………12歳
  • 閉経年齢…………50~51歳

 月経がこなくても、逆に月経が何回も来るのも心配です。また月経血の量が多すぎる、少なすぎることにも注意してください。卵巣機能不全やホルモンのバランス異常、無排卵月経、不妊症、そして甲状腺機能障害、代謝異常、糖尿病、腫瘍などの病気のサインかもしれません。

月経がたびたび来る場合<頻発月経>

 月経周期が24日より短く、月経がたびたび来るものを「頻発月経」と言います。月に2回も3回も月経が来るとしたら、これはおかしいと考えなくてはなりません。この場合、無排卵性か排卵性かに分けられます。

 無排卵性というのは、文字どおり卵巣からの排卵がない場合で、思春期や閉経前にはよく起こります。月経血の量は少ないのに、10日も2週間もダラダラと月経が続くことが多いのが特徴です。一方、排卵がある場合は、卵胞期が短くて排卵が早く起こります。頻発月経は、思春期や更年期に多く見られます。反対に黄体期が短くなって起こる頻発月経は、不妊症や流産の原因となります。

月経がたまにしか来ない場合<稀発月経>

 月経の周期が39日より長い場合、つまり年に10回以下しか月経がない場合を「稀発月経」と言います。更年期が近づけば月経がたまにしか来ないようになるのは生理的な現象で、成熟期の女性でも環境によっては月経が遅れることはあるものです。

 問題は排卵がない場合です。同じ稀発月経でも1か月半に1回や、2か月に一回は定期的に月経があり、排卵がある場合にはあまり心配はありません。たまにしか月経のない人でも、妊娠して出産している方は珍しくないからです。それは、そういう形の月経なのだと理解してください。

月経血の量の異常<過多月経・過少月経>

 正常な量は20~140mlの範囲で、1枚のナプキンで3時間前後はもつ程度の量です。これ以上の出血が見られ、ドロっとしたレバー状の経血のかたまりが2日以上見られて、日常生活に支障が出るほどになると、「過多月経」と診断されます。出血量が多いために重度の貧血が現れる場合もあるので、注意が必要です。

 月経血が少ない「過小月経」というものもあります。過少月経は生理の出血が異常に少ない状態です。過少月経の出血量は20ml以下でおりものと変わらない量しかなく、ナプキンを取り換える必要もない程度が目安です。

月経が来ない場合<無月経・無排卵周期>

 月経不順の程度が悪化すると、90日(3か月)以上月経が来ない「無月経」や、月経がきても排卵されていない「無排卵周期」が見られ、不妊につながる恐れがあります。また、ホルモンバランスの乱れにより、イライラや疲労感、のぼせ、動悸、頭痛、めまいなど更年期障害に似た症状に悩まされる場合もあります。

 40歳未満の女性で、4~6か月間の続発的な無月経がみられると「早発卵巣不全(POF)」が疑われます。早発卵巣不全と診断された場合、ホルモンの分泌が閉経と同じ状態になっているため、排卵誘発が難しく早期に治療する必要があります。無月経や無排卵の状態が長く続いてしまうと子宮内膜が育たず萎縮して、不妊の原因になるので、妊娠を望む場合は早急に治療が不可欠です。

 月経異常や排卵障害の可能性がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。

月経不順はどうしておこるのか

 卵巣からは、月経周期にかかわる2種類の女性ホルモンが分泌されます。2つの女性ホルモンは、それぞれ「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれます。エストロゲンは原始卵胞を成熟卵胞に育て排卵が起こると、排卵後の卵胞が黄体に変化して黄体ホルモンを分泌し、妊娠に適した体の状態を作ろうとします。卵巣の機能が低下して2つの女性ホルモンのバランスが乱れると、「月経周期の乱れ」や「排卵障害」が引き起こされている状態になります。

 卵巣機能不全にはさまざまな原因が考えられますが、精神的なストレスや過度なダイエット、激しい運動などが引き金になっているといわれます。卵巣に女性ホルモンの分泌を促している脳の視床下部は、自律神経を司る器官でもあります。精神的ストレスなどの影響で自律神経が乱れると、脳から卵巣への指令がうまく出せなくなり、ホルモン分泌のコントロールがうまくできなくなってしまいます。

 更年期になると卵巣そのものの機能が低下し、女性ホルモンのバランスが崩れやすくなります。卵巣そのものの病気や、視床下部・下垂体の疾患などが原因で卵巣機能不全に陥ることもあります。

卵巣機能不全の改善策は?

 卵巣機能不全は、ストレスで女性ホルモンの分泌が乱れることによって引き起こされることが多い症状です。まず、ストレスやダイエットの影響など、卵巣機能不全を引き起こしている原因の可能性を探り、その原因を取り除くことで改善を目指しましょう。 エストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンが体内で不足していないかどうかを調べて、必要な場合は薬で補うホルモン療法が行われます。

 まず取り組みたいのは、ストレスによる原因をとり除くことです。生活習慣の見直しも大切です。「体を冷やさない」「軽い運動を続ける」「ストレスを上手に発散する」といったことを日常生活で意識するほか、体質改善に有効な漢方も取り入れるのもよいかと思います。

 月経異常に気づきやすくするために「基礎体温を測る」ことも習慣づけるとよいと思います。卵巣の機能を守るために、規則正しく健康的な暮らしを心がけたいですね。最後に、生理不順が続くときは、早めに婦人科を受診して対処してください。漢方の専門医に相談してみるのも良いでしょう。西洋医学は、「病気」に対して処方し、漢方は「人」に対して処方するといえます。漢方医はその人の今の体調や、もともとの体質、なぜそうなったか病因などを総合的に分析して、どの漢方が好ましいかを判断して、その人に合った漢方を処方します。

月経不順にこの漢方

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 体力が中等度の人。症状としては「頭痛」「肩こり」「便秘」「ほてり」のある人に。
加味逍遙散(かみしょうようさん) 体力が中等度・虚弱の人。症状としては「イライラしてしまう」「気分の変動が激しい」「気分の落ち込み」のある人。月経前にイライラしがちな人に。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 体力が虚弱の人。症状としては「貧血」「冷え性」「むくみ」「疲れやすい」「月経が遅れがち」「トイレが近い」症状がある人に。
中島由美子先生
中島由美子先生
下平レディースクリニック 院長
(社)日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
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