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耳鼻咽喉科領域の心身症治療における漢方薬の位置づけとは

[漢方ニュース] 2015/01/07

 10月25日、東京・品川で漢方医療を行う耳鼻咽喉科の医師が一堂に会し、漢方医療について学ぶ「第30回日本耳鼻咽喉科漢方研究会学術集会」が開催されました。会場には前回を大きく上回る、200名を超える耳鼻咽喉科の医師が全国から集まり、数多くの発表とそれに伴う活発な質疑応答が交わされました。同集会のプログラムの最後となるワークショップでは、「耳鼻咽喉科領域の心身症治療における漢方薬の位置づけ」について、臨床現場の最前線に立つ医師からの発表が行われました。

診断が難しい「心身症」と「精神神経疾患による身体症状」の違い

 ワークショップの冒頭で基調講演を行ったのは、帝京大学医学部附属溝口病院 耳鼻咽喉科教授の室伏利久先生。
 「耳鼻咽喉科で診る症状の中で、心身症の可能性があるものとしては、めまい、耳鳴、耳閉感、咽喉頭異常感、舌痛症、口内乾燥感、鼻閉感などが挙げられます」と室伏先生。しかし、毎日多くの患者さんが訪れる耳鼻咽頭科において、「心身症」とうつ病などに代表される「精神神経疾患による身体症状」を少ない情報から見分けるのは難しい、と語ります。
 さらに室伏先生は「心身症は“身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態”と定義されています。つまり、何らかの“器質的ないし機能的障害”が発見されるならば、その患者さんは耳鼻咽頭科で診療すべきと考えます」と語り、基本的な問診に加えて、簡便な質問紙法による心理テストを行ったり、必要があれば詳細な検査を受けるなどして、複数のアプローチ方法で患者さんから情報を収集し、身体の器質的ないし機能的障害と心理的な関与の評価を並行して行うことが重要であるとしています。

身体面・心理面双方に効果が期待できる漢方薬

 治療について、室伏先生は「身体面の治療は当然として、心理状態の悪化が身体症状を悪化させてしまうという悪循環をどう断ち切るかが重要」と語ります。しかし、毎日多くの患者さんが受診する耳鼻咽喉科の臨床において、きめ細やかなカウンセリングを行うのは時間的にも、そして、精神療法や心理療法に関する知識の面でも制約があります。そうした際に漢方薬の活躍するフィールドがある、と室伏先生は語ります。
 さらに、「心身相関的な考え方がある漢方医学の、それも様々な生薬をブレンドした漢方薬ならば、身体面、心理面の双方に効果を期待できます。耳鼻咽喉科でも、めまいには半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじつてんまとう) 、咽喉頭異常感には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) 、耳鳴には抑肝散(よくかんさん) 、耳閉感には加味帰脾湯(かみきひとう) などが使われています」と耳鼻咽頭科における心身症の治療に漢方薬が重要な位置を占めていることを講演しました。

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