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市民公開セミナー「もっと知ってほしい『がんと漢方薬』のこと」レポート(前編)

[漢方ニュース] 2014/04/02

 近年、医療用漢方薬が抗がん剤による副作用の改善や、がん患者のQOLの維持向上に有効であるとの知見が得られ始め、がん臨床での関心が高まりつつあります。漢方薬の基礎的な知識と共に漢方薬の使用の実態や臨床試験でわかってきたことに関して、各専門家の先生方の講演が2013年11月24日(日)国立がん研究センター国際研究交流会館にて行われました。その様子をレポートします。

漢方薬のエビデンス情報が増えていることを契機に、今後も漢方薬の使用は増えると6割以上の医師が予測

 緩和ケアなどの目的でがん治療の現場でも漢方薬が多く使われている現在。エビデンス情報が増えていることを契機に、今後も漢方薬の使用は増えると6割以上の医師も予測しています。そんな中でセミナーではまず国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野長の上園保仁先生が「ここまでわかってきた漢方薬のこと」というテーマで講演を行いました。
 「現在、漢方薬は基礎研究や臨床研究も進んでいますし、特に六君子湯は、食欲を増進する効果があると認められています。エビデンスが確立し始めているからこそ、漢方薬は『たぶん効く』から『きっと効く』というスタンスへ変化し、漢方薬がより有効にがん治療において使用されていくでしょう」
 私たちの研究班は「六君子湯(りっくんしとう) 」を用いた研究をしています。実は、この漢方薬の有効性を示す研究結果は相当に存在しています。六君子湯は、主に慢性胃炎などの上部消化管の愁訴に用いられますが、がん治療においても、がん患者の食欲低下を改善する目的で使用されています。六君子湯がグレリンの産生を高め、脳内のグレリン受容体を増やすことによって食欲を高める効果が科学的に明らかになってきています。特に各種の抗がん剤の副作用であるグレリン産生抑制による食欲不振を改善することが大いに期待されています。
 また、死亡の原因となるがんの悪液質(やせ衰えていった時に起きる状態・症候群)についても、六君子湯はグレリンの産生を高め食欲不振を改善させる可能性を明らかになっています。

がん治療の現場において、効果が期待できる漢方薬の現状

 「超高齢化社会を迎えた日本は、がんの罹患率・死亡率共に増加傾向にあります。それに伴って医療技術も進歩し、免疫細胞療法、遺伝子解析など先端医療も進んでおり、総合的にがんを治療できる医療機関も増えています」
 と「がんの時代を生きる-粒子線治療から漢方薬まで」というテーマで鹿児島大学大学院医歯学総合研究科心身医療科教授 乾明夫先生が講演を行いました。
 がんの治療においては、統合医療、先端医療、補完医療を組み合わせること、周辺症状を積極的に治療する必要があり、その中で漢方薬の期待度も高まっていると言えます。
 「六君子湯(りっくんしとう)は、近年急速に臨床研究が進み、その作用メカニズムが明らかになってきました。グレリンという食欲を増進させる働きを持つホルモンの受容体シグナルを増やすことがわかり、上部消化管手術後、および抗がん剤治療などに伴う上腹部症状への効果が期待されています。
 また、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) ががん細胞やウイルス感染細胞など攻撃するリンパ球・NK細胞を増加させることや、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう) が誤嚥性肺炎の予防、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) が神経障害を軽減する、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) が口内炎の疼痛を軽減、その他にも大建中湯(だいけんちゅうとう) が消化管運動の亢進、五苓散(ごれいさん) が浮腫を改善することなどもわかってきており、がん治療の現場において効果が期待できる漢方薬が増えてきています」

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