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【抑肝散】認知症患者の治療ならびに日常生活動作の改善に効果/論文の概要

[松田勇紀先生]

論文の概要

<論文タイトル>
認知症の行動・心理症状に対する抑肝散による治療:無作為化対照試験の系統的レビューとメタアナリシス
Yokukansan in the treatment of behavioral and psychological symptoms of dementia: asystematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
(Human Psychopharmacology Clinical and Experimental.2013,28(1),p.80-86)
目的
抑肝散による認知症の行動・心理症状に対する治療の有効性と忍容性をメタアナリシスで検証する
試験デザイン
BPSDを伴う認知症患者に対する抑肝散投与に関する無作為化対照試験のみによる系統的レビューとメタアナリシス
セッティング
藤田保健衛生大学医学部精神科
対象
PubMed、Cochrane Libraryデータベース、Psyc INFOに2012年10月までに収載された「認知症」および「抑肝散」のキーワードで検出された46論文のうち4論文。各論文とも通常治療を対象とした抑肝散投与との比較試験。4論文の症例数は15~106例で被験者総数は236例、うち抑肝散投与例は121例。症例はアルツハイマー型、レビー小体型、血管性の各認知症。試験期間は4~12週間(平均6週間)。症例の平均年齢は78.6歳。
介入
検索により検出された論文の表題・抄録を確認し、全文を査読した結果、総説論文6論文、無作為化対照試験ではない19論文、動物試験に関するもの17論文を除外し、4論文のみをメタアナリシス対象とした。なお、選定された各論文での抑肝散投与量は1日7.5g。メタアナリシスはReview Managerにデータを入力し、DersimonianとLardのランダム効果モデルを使用して試験結果を統合した。
主な評価項目
主要評価項目:認知症の精神症状評価尺度・NPI(Neuropsychiatric Inventory)総スコアの変化
副次評価項目:NPI下位尺度(妄想、幻覚、興奮/攻撃性、うつ、不安、無関心、易刺激性/不安定性、多幸、脱抑制、異常行動)
日常生活動作(ADL)スコアの変化
認知機能検査・MMSE (Mini-Mental State Examination) スコアの変化
あらゆる理由での治療中止率
結果
  1. 抑肝散は、通常治療に比べ神経精神症状評価(NPI)総スコアの減少において優れていた。(p=0.0009)。
  2. 神経精神症状評価(NPI)のサブスコアでは妄想、幻覚、及び興奮/攻撃性を有意に改善した。
  3. 抑肝散は、通常治療に比べ日常生活動作を有意に改善した(p=0.04)。
  4. 認知機能(MMSE)に関しては両群間に有意差は認められなかった。また、治療の継続においても有意差は認められなかった。
  5. あらゆる理由での治療中止率で両群間に有意差は認められなかった。1試験で併用薬が原因とみられる錐体外路症状が認められ、併用薬が減量された。また、抑肝散投与群で2例に低カリウム血症が認められた。
結論
抑肝散は認知症患者のBPSD の症状(妄想、幻覚、興奮/攻撃性)の治療と日常生活動作の改善に有益かつ良好な忍容性を有することが示唆された。

2013/08/02

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