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【六君子湯】機能性ディスペプシアの消化管運動機能異常に対する効果/論文の概要

[楠裕明先生]

論文の概要

<論文タイトル>
機能性ディスペプシア治療における漢方薬・六君子湯の効果
Efficacy of Rikkunshito、 a traditional Japanese medicine (Kampo), in treating functional dyspepsia
Kusunoki H, et al. Inter Med. 2010; 49: 2195-2202.
目的
体外式超音波法により、機能性ディスペプシア患者の近位胃拡張能および胃十二指腸運動性に対する六君子湯の臨床効果を明らかにする
試験デザイン
前向き単施設単群試験
セッティング
倉敷市(岡山県)の大学病院
対象
機能性ディスペプシアと診断され、以下の条件を満たす16名(男性10名、女性6名、年齢28~78歳、年齢中央値は45歳)
1)糖尿病および胃腸手術の既往がない
2)胃の運動性に影響を与える薬物を服用していない
介入
対象者全員に、六君子湯を7.5g/日(分3)で14日間投与した
主な評価項目
六君子湯投与前と投与後の以下の項目について検討を行った
1)胃腸消化管症状の変化
GSRS(Gastrointestinal Symptom Rating Scale)日本版の合計点数と各項目の点数を評価した。

※酸逆流、腹痛、消化不良、下痢、便秘に関する15の質問項目について、過去1週間の状態を、1点(ぜんぜん困らなかった)~7点(がまんできないくらい困った)までの点数で表す

2)体外式超音波画像による近位胃断面積の比較(近位胃拡張能の評価)
コンソメスープを100mLずつ計400mL摂取し、100mL摂取ごとに体外式超音波法により近位胃の断面積を測定し、胃拡張率を比較した
3)胃十二指腸運動性に関する評価
体外式超音波法により、胃排出率、胃前庭部運動指数、十二指腸胃逆流指数を評価した

結果

六君子湯投与後のGSRS全体スコアは減少傾向にあったが、統計学的有意差は認められなかった(p=0.112、Wilcoxon test)。GSRSの具体的な症状のうちの3項目は有意に点数が減少した(心窩部痛:p=0.008、胸やけ:p=0.024、膨満感:p=0.028、Mann-Whitney’s test)。超音波で評価した胃拡張率は、投与前に比しそれぞれ有意に増大した(100mL摂取時:p=0.034、200mL摂取時:p=0.007、300mL摂取時:p=0.017、400mL摂取時:p=0.017、Student’s t-test)。胃排出率および胃前庭部運動指数も有意に改善したが(それぞれp=0.010、p=0.049、Student’s t-test)、十二指腸胃逆流指数には統計学的有意差はみられなかった(p=0.436、Student’s t-test)。

結論
六君子湯は、機能性ディスペプシア患者の近位胃拡張能や胃排出能、胃前庭部運動機能を改善する。今回の結果からは、機能性ディスペプシアや胃食道逆流症の治療に六君子湯が有効と考えられる。

2011/07/05

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