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【牛車腎気丸】大腸がんの抗がん剤治療による、しびれや冷感の軽減効果/論文の概要

公開日:2010.08.06
カテゴリー:特集・漢方の実力

論文の概要

<論文タイトル>
進行・再発大腸癌患者におけるオキサリプラチンの末梢神経障害に対する牛車腎気丸の効果
Efficacy of gosyajinkigan for peripheral neurotoxicity of oxaliplatin in patients with advances or recurrent colorectal cancer
Kono T, et al. eCAM. December 1, 2009. (オンライン版)
目的
進行・再発大腸癌患者において、オキサリプラチンに関連した末梢神経障害に対する牛車腎気丸の効果を検討する
研究デザイン
レトロスペクティブ(後ろ向き)多施設試験
セッティング
大学病院と5つの関連医療施設
対象
2005年8月から2008年1月に、FOLFOX4またはmFOXFOX6を施行された進行・再発大腸癌患者90名
介入
対象者が実際に受けた補助療法により、以下の4群で比較を行った:
1)A群(11名):補助療法として、FOXFOL施行期間中牛車腎気丸を7.5g/日(分2または3)を投与
2)B群(14名):補助療法として、FOLFOX施行期間の前後1日ずつにCa/Mg製剤を投与
3)C群(21名):補助療法として、牛車腎気丸とCa/Mg製剤の両方投与(投与法は上記と同じ)
4)D群(44名):補助療法は行わない
主な評価項目
オキサリプラチンの累積投与量が500mg/m2を超えた時点の末梢神経障害発生率、全体における末梢神経障害発生率とその程度、50%の患者が末梢神経障害を発生したオキサリプラチンの累積投与量(TD50)、治療成功期間、投与することのできたオキサリプラチンの総用量・平均値・中央値
結果
4群間では人数にばらつきがあったが、患者背景には差は認められなかった。
治療期間全体を通じて、投与することのできたオキサリプラチンの総用量・平均値・中央値は、いずれもA群で最も多かった。オキサリプラチンの累積用量が500mg/m2を超えた時点の末梢神経障害発生率は、A群50.0%、B群100%、C群78.9%、D群91.7%で、A群で最も少なく、D群との間に有意差があった(p=0.002)。全体の末梢神経障害発生率も、A群で最も少なくD群と差は有意であった(p<0.001)。TD50は、A群765mg/m2、B群255mg/m2 、C群340mg/m2 、D群255mg/m2であり、末梢神経障害が発生するまでに最も多くの量を投与できていたのはA群だった。治療成功期間は、牛車腎気丸を用いたA群とC群で用いなかった群に比べて約2カ月間長く(A群177日、B群122日、C群183日、D群127日)、末梢神経障害による治療中断率も低かった(A群0%、B群42.9%、C群19.0%、D群22.7%)。 なお、A群では骨髄抑制による中断率18.2%と他の3群よりも高かったが(0〜7.1%)、全体での治療継続率は最も高かった。この有害事象の原因は、牛車腎気丸ではなく、オキサリプラチンおよび5FUの総投与量が他の群よりも多いためと考えられた。
結論
大腸癌化学療法を受けている患者において、牛車腎気丸を併用した場合、オキサリプラチンによる末梢神経障害を軽減できる。なお、今回の検討はレトロスペクティブ(後ろ向き)試験のため、今後、さらに大規模のプロスペクティブ(前向き)臨床試験が必要である。

河野透先生が行ったセミナーレポートは以下より
代替医療からの脱出 海外でも注目される漢方の実力(第109回漢方医学フォーラム)

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