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【麦門冬湯】かぜの後の長引く咳の改善効果/論文の概要

[入船和典先生]

論文の概要

<論文タイトル>
かぜ症候群後遷延性咳嗽(PICP)に対する麦門冬湯の鎮咳作用
Antitussive effect of bakumondoto a fixed kampo medicine (six herbal components) for treatment of post-infections prolonged cough: Controlled clinical pilot study with 19 patients
Irifune K, et al. Phytomedicine. 2011; 18: 630-633.
目的
かぜ症候群後遷延性咳嗽(PIPC)に対する麦門冬湯の有効性および安全性を評価し、麦門冬湯の咳嗽に対する効果を検討する
試験デザイン
多施設オープンラベル無作為化並行群間比較試験
セッティング
愛媛県内の大学病院と6つの関連医療機関
対象
2007年2月から2009年3月に対象医療機関を受診した患者のうち、かぜ様症状(発熱、鼻汁、くしゃみ、流涙、咽頭痛および嗄声など)後の3週間以上続く咳嗽に対し、鎮咳剤(麦門冬湯、β2刺激薬および抗コリン薬を除く)を服用しても症状が軽快しなかった成人患者20名
介入
対象患者に基礎治療薬としてβ2刺激薬を投与し、無作為に麦門冬湯を内服しない群(A群:11名)と麦門冬湯1日9.0g(分3、食前または食間)を内服する群(B群:9名)の2群に分け、14日間観察した。なお、無作為化は封筒法にて行った。
主な評価項目
有効性の評価:
1)咳日誌に基づく咳嗽の程度
咳日誌は被験者が記入し、咳嗽の程度(咳スコア)は4段階にわけ、評価の時間帯を3つに分けた。そのため、1日の咳スコアは0~9点となる。
0点:なし、1点:軽い、2点:強い、3点:非常に強い
朝~昼(6:00~14:00)、昼~夜(14:00~22:00)、就寝中(22:00~6:00)
2)VASに基づく咳嗽の程度と頻度
投与前1週間、投与後1週間、2週間について、それぞれVASスコア(0~10)で評価した。
安全性の評価:
投与前と投与2週間後の血液検査(白血球数、好酸球百分率、CRP、AST、ALT、総ビリルビン値、カリウム値、IgE)の変化、および医師による問診で見つかった有害事象の重症度と重篤度について評価した。
結果
有効性の評価:
1)咳日誌に基づく咳嗽の程度
鎮咳剤(デキストロメトルファン)を必要とする重症な咳嗽症状を有する割合は、A群で81.8%(9/11名)であったのに対して、B群では75.0%(6/8名)であったが、両群間に有意な差は認められなかった。咳日誌に基づく評価では、B群で投与後4日後・5日後にA群に比して咳スコアが有意に改善し(p<0.05,Wilcoxon検定)、早期での鎮咳効果を認めた。さらにB群において、投与4日後の咳スコアが0になった患者の割合は、朝~昼0%(0/8名)、昼~夜12.5%(1/8名)、就寝中62.5%(5/8名)と、夜間の時間帯で最も高いことが示された。なお、この数値はA群ではそれぞれ9.1%(1/11名)、0%(0/11名)、18.2%(2/11名)であった。
2)VASに基づく咳嗽の程度と頻度
A群とB群の間で投与後1週、2週のVASスコアに差はなかったが、いずれの群も投与前からは改善が認められた。
安全性の評価:
麦門冬湯の投与による重篤な有害事象は認められなかった。A群の2名とB群の4名にβ2刺激薬に起因すると思われる動悸および手の震えが観察された。B群の1名に発疹が認められた。最終的に、A群2名、B群2名が有害事象のために投薬を中止した。
結論
麦門冬湯は、かぜ症候群後遷延性咳嗽(PIPC)の早期改善に有効かつ安全である可能性が示唆された。

2011/12/09

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