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第9回 翠皮フ科・アレルギー科 飯塚仁院長
~漢方薬の新時代診療風景~
漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。
模試代わりに受けた医大から医療の道に進む
胸を張って医者になった経緯をお話するのも小恥ずかしいのですが、大学受験前に模試と思って受けに行った防衛医科大学校の合格がきっかけで医療の道に進むことになり、現在に至ります。当時の私は、国立大学の工学部に進学してPCや電気機械の勉強をしたいと思っており、また実家も医業でなかったことから、自分自身も含め誰も「医者になる」とは夢にも思っていなかったのです。
志望校は残念ながら不合格で、他の工学部への進学も考えましたが、補欠合格が繰り上がったので防衛医科大学校に進学し、卒業後に航空自衛隊に入隊しました。同校は授業料が免除なうえに手当が出ることもあり、親から勧められたのが入校を決めた理由です。
同校の卒業生は、一般医大とは違い、医師たる幹部自衛官として部隊勤務をすることが義務づけられています。私自身も大学校卒業後は、初任実務研修医として2年間病院で勤務をし、硫黄島基地隊やゴラン高原派遣輸送隊で勤務しました。硫黄島基地隊では、自身が危険な状況下で、救難活動に出かけたことがあります。一歩間違えば患者さんも私たちもみんな命を落としかねないこともありました。無事に救助に成功し、患者さんやご家族から「ありがとう」のお言葉は何物にも変えがたく、一気に疲れを吹き飛ばしてくれました。その言葉は救難活動に直接関わった私たちだけではなく、私たちの活動を支えてくれた仲間たちにもかけられた言葉なのだろうと思います。お互いの感謝の心を忘れずに救難活動できたことは大きな財産です。医師の道を歩む私は、さまざまな状況における訓練や経験から育てられたものだと、今感じています。
数々の転機を経て開業に至る
翠皮フ科・アレルギー科を開業するまでは、紆余曲折、数々の転機があったように思います。第一の転機は、学生の時です。前述のように同校は、一般医大とは異なり、研修医は防衛医大で研修を必ず行います。将来何科に行くかということで、各科の説明会がありました。外科、整形外科は人気が高く、学年の1/4以上が外科系を希望する中、私自身はどこにも決められず、最後に開かれたのが皮膚科でした。それに参加してそのまま皮膚科を選択しました。
第二の転機は、漢方薬との出会いです。私は、以前は漢方薬は効果がない医療だと思っていたときもありました。が、従来の治療法に効果が見られずに困っていたときに漢方薬を試してみませんか?と患者さんにお話をしたうえで飲んでいただいたことがあり、その後、症状が劇的に改善したのを目の当たりにしたのです。そこで漢方薬の効果を実感しました。自衛隊を退職し、開業前に勤務していたクリニックでは漢方薬に重きをおいた治療をしていました。
その後、クリニックを1年で辞すことになった時が第三の転機でしょうか。退職時は全く考えていませんでしたが、大学病院に戻るという選択肢もあった中、開業できるのはこのタイミングしかないと思い、貯金もどうにかあったので開業しました。漢方薬の知識やさまざまな経験が患者さんのお役に立てればと思う気持ちがあり、自身のクリニックでも西洋薬だけでなく漢方薬を用いた幅広い保険診療を実施したいと考えました。今は、漢方薬に関しては、こちらからお勧めするのと患者さんから処方の要望があるのと半々くらいの割合です。すべての症例に使用しているわけではありませんが、ニキビや重症のアトピー性皮膚炎の患者さんには積極的に勧めています。皮膚科メインではなく、頭痛や肩こり、冷え性、気分の落ち込みなどを漢方で治したいという内科疾患で悩まれている患者さんも、口コミ評判などで徐々に増えてきました。自衛隊の部隊では皮膚科よりも内科診療が多かったことが活かされていると思っています。私自身は漢方薬で体の調子を整え、漢方薬と西洋薬の得意分野を活かしながら融合した処方が望ましいと考えており、皮膚の症状などで来院した患者さんに内科的治療で漢方薬をお勧めしたりするケースも少なくありません。漢方診療を取り入れたほうが治療の幅が広がるので、今後も要望があればお手伝いしていきたいと思っています。
症状に応じて細かく使い分ける処方を実践
ここ半年間に処方している漢方薬を数えると合計約80数種類にもなります。たまたま門前薬局を持っていないので、これだけ多くの在庫を抱える必要がある近隣の複数の薬局さんには、いつも大変お世話になっています。幸い、周囲の薬局さんが自分を応援してくださっており、何かの折りに患者さんを紹介してくれることもあるのも、大変心強いことです。今後も支持していただけるように自分も努力をしなくてはいけないと思っています。
なぜ、これだけ多くの種類が必要なのかと、聞かれることもあります。皮膚科、内科的疾患のさまざまな症状をおさえ、かつ状態を改善していくために、これだけの数が必要だと考えています。例えば、ニキビという病名一つとっても、ホルモンやストレス、消化器症状など、どのような病態で引き起こされているのかで対処は異なります。「東洋or西洋」ではなく、純粋に病態に基づいてあう薬を処方しています。病態をどのようにとらえるかということにおいて、他のドクターとは違いがあると感じており、ここは自身の強みだと思っています。
日々勉強し続けることが患者さんへの礼儀
平日の休診日は、病院の外来診療支援や往診、勉強会の時間にあてています。教授のご厚意で出身大学ではない他大学の症例検討会と勉強会に毎週参加しています。開業医は日々忙しく、勉強する暇がないという意見を聞くこともあります。開業医だからとか、大学にいるからという隔てなく、自身が知識を研鑽し続けることは患者さんへの礼儀だと私は考えています。
また、過去の症例情報を分類・蓄積し、データを入力すると将来が予測できるようなシステムを近い将来に完成させたいと思っています。漢方薬は古くから使用され、ある程度確立されたものですが、時代に即した新たな考え方もあり得るでしょう。例えば方剤の分類方法も、従来のものだけでなく、別の尺度を加えることで、一番適した漢方薬を早く処方できるようになるのではないかと思います。全然効果がなければ違うカテゴリーのものを選び、効果はあるが少し違う処方を検討したいときは、同じカテゴリーの近縁のものを選択できるようにするのです。コンピュータが発達した現代ならではの新たな分類ができれば、次の段階では将来予測も可能になると思っています。
翠皮フ科・アレルギー科
医院ホームページ:http://midorihifuka.jp

JR常磐線・亀有駅下車徒歩6分、アリオ亀有環七側入口徒歩1分。
詳しい道案内は、医院ホームページから。
診療科目
皮膚科、アレルギー科
飯塚仁(いいづか・じん)院長略歴

2001年 初任実務研修医
2003年 航空自衛隊硫黄島基地隊
2005年 自衛隊中央病院皮膚科
(2006年 2月~2006年9月 ゴラン高原派遣輸送隊(UNDOF))
2009年 航空自衛隊退職
2009年 あらなみクリニック
2010年 翠皮フ科・アレルギー科 開業
■資格・所属学会他
日本皮膚科学会
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コメント(2件)
これからも益々漢方薬の普及に努めてください。
一言感想 | 2011.10.14 4:37:05




自分がSLEなので、西洋医学の化学物質の怖さとそれを当たり前だと思っている現代医療者は凶器そのもの。東洋医学だから安全という訳ではないけれど、漢方をバッシングしようとしていた2009年のような事はやめて欲しいです。東洋医学は現代医学に必要です。
一言感想 | 2011.09.16 11:50:54