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便通を調整しながらの処方で、3年来の湿疹・かゆみに対処

[外科医が使って知った漢方薬の魅力「意外と効くもんだ」] 2011/12/02

便通を調整しながらの処方で、3年来の湿疹・かゆみに対処

 「3年前から季節によって顔に湿疹が出来てかゆくなる」という57歳の女性。冬から春の終わり頃までかゆみが出て困っていると言う。加えてウォーキングで林の辺りを歩くと、鼻水が垂れてくるとのこと。近くの皮膚科に受診したところ、「花粉のアレルギーじゃない?」と言われ、アレルギーの薬を処方されたが、飲んでもあまり効果を感じなかった。そこで漢方薬を試してみたくなったらしい。
 前額部(おでこ)と、両側の耳の下に、赤く小さな湿疹がいくつも出来ていた。かゆいため、無意識のうちに掻いてしまうようだ。
 頭から首にかけての湿疹なので、まずはエキス剤の治頭瘡一方(ぢづそういっぽう) を1か月分処方した。1日3回(1日7.5g)飲んでもらったところ、「始めの3日くらいは調子よさそうに思ったけど、その後は効いていない気がする。3回飲むとお腹が痛くなって下痢をする。1回にしておくと便通が良い」とのことであった。
 漢方では、「皮膚疾患の治療に便秘は大敵である」と言われる。そこで治頭瘡一方には、下剤としてよく用いられる生薬の大黄が含まれている。今回の下痢はそのためかもしれない。あまり下痢をしては可哀想なので、処方を変更することにした。
 湿疹に対して良く用いられる十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) のエキス剤を1日3回(1日7.5g)2週間分処方した。十味敗毒湯には大黄などの、いわゆる下剤の生薬は含まれていない。しかしながら便通を良くするために、マイルドな下剤であるエキス剤の麻子仁丸(ましにんがん) を、1日1回(2.5g)から始めてもらった。便通に対する効き目が不十分であれば、麻子仁丸の量を増やすように伝えた。
 十味敗毒湯を飲みだしてから、皮膚の赤みはとれたと言う。しかし、かゆみが治まらないで困るとのこと。便通については麻子仁丸を1日2パック飲むと調子良いとのことであった。
 患者さんの訴えが「かゆみ」なので、ここでも処方を変更して様子をみることにした。
 湿疹は赤みがあり、熱をもっている。そこで冷やす薬である黄連解毒湯(おうれんげどくとう) のエキス剤を1日3回(1日7.5g)1か月分処方した。その後患者さんはしばらく来院しなかったが、別の症状で再び来院したときに話を聞いたら、「飲み始めたらまず、かゆみが治まった。そして2週間くらいで湿疹も完全になくなった。そのため2週間で内服を中断した。」とのことであった。かゆみが治まったために、掻かなくなり、そのために湿疹も落ち着いたのであろう。本当は「その瞬間の喜び」を分かち合いたかったが・・・まあ、喜んでもらえて一安心であった。

堀口定昭(ほりぐち さだあき) 愛世会愛誠病院・下肢静脈瘤センター

2002年帝京大学医学部卒業、2008年より愛誠病院にて血管外科医として勤務しながら整形外科と漢方を学ぶ。
血管外科の外来で漢方薬を使うようになってから、本格的に漢方を学ぶようになり、2010年より血管外科と漢方内科を兼務。
日本外科学会専門医、日本脈管学会専門医。
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