QLife漢方が、『漢方薬』の効果や効能、医学的・科学的情報を、わかりやすくお伝えします。

新規会員登録

胃カメラやバリウムで異常がないのに、胃腸の調子がずっとおかしい

[外科医が使って知った漢方薬の魅力「意外と効くもんだ」] 2011/10/04

胃カメラやバリウムで異常がないのに、胃腸の調子がずっとおかしい

 「胃腸の調子がおかしい、すぐに下痢をしてしまう」と言って、58歳の女性が来院した。
 ずいぶん前から胃腸の調子がすぐれず内科の医師の診察を受けていた。今まで胃カメラやバリウムなど色々な検査を受けたこともあるが、全て「軽い胃炎」であるとの診断であった。ところが最近は、少しストレスを感じることがあると、すぐに下痢をしてしまうようになったとのこと。当然内科の医師からは胃潰瘍の薬や胃粘膜保護剤など多数の胃薬をもらっているが、症状は改善しないという。
 実はこの患者さんは中国の出身で、漢方薬を飲むことに対して全く抵抗が無く、進んで漢方薬を飲みたいと言ってきた。そこでエキス剤の六君子湯(りっくんしとう) を1日3回(1日7.5g)処方した。
 味や臭いが平気かどうかを確かめるために2週間分だけ処方して、「次回は2週間後にいらして下さいね」と伝えた。しかし2週間どころか4週間経ってもこの患者さんは来院しなかったため、「きっと全く効かなかったから来てくれないんだな」なんて思っていた。
 5週間したところでようやく来院した。話を聞いてみると、急用ができて中国に帰国していたとのことであった。胃腸の症状については、六君子湯を飲み始めて数日で「胃のムカムカ」「食欲」「下痢」は全て良くなったとのことであった。2週間分の処方しか無かったためにその後は内服しないで過ごしていたが、内服しないでいるとやはり胃腸の調子がおかしくなってしまったそうである。そこで日本に帰国して直ぐに来院したのだと言う。
 再び六君子湯の内服を始めたところ、また胃腸の調子が良くなり元気も出たと非常に感謝された。
 しばらくして「内科の先生から胃カメラをするように言われてから、何だか寝られない」と言われた。そこで寝つきが良くなるようにエキス剤の加味帰脾湯(かみきひとう) を処方してみた。加味帰脾湯には生薬の人参(にんじん)黄耆(おうぎ)が配合されており、参耆剤(じんぎざい)と言われる元気を出す薬の仲間である。また帰脾湯とは脾を補う薬、つまり消化機能を改善する薬である。そのため胃腸の調子を維持したまま眠れるようになることを期待した。しかしこれは失敗に終わってしまった。眠れるようにもならず胃の調子も少し悪くなった。結局胃カメラでは異常が指摘されず、自然と寝られるようになったため六君子湯に戻して処方を継続している。

堀口定昭(ほりぐち さだあき) 愛世会愛誠病院・下肢静脈瘤センター

2002年帝京大学医学部卒業、2008年より愛誠病院にて血管外科医として勤務しながら整形外科と漢方を学ぶ。
血管外科の外来で漢方薬を使うようになってから、本格的に漢方を学ぶようになり、2010年より血管外科と漢方内科を兼務。
日本外科学会専門医、日本脈管学会専門医。
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。
この記事を読んだ人は他にこんな記事も読んでいます。