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福田医院 福田秀彦院長

公開日:2015.09.30
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

中国の歴史や古典が好きで漢方医の道へ

 私は中学生のころから中国の歴史や古典に興味があり、三国志や易経、孫子、荘子などを好んで読んでいました。一時期は歴史学者になりたいと考えていましたが、父が内科の開業医で、医師という職業を身近に感じていたこともあり、高校生のときに医学部を目指すことにしました。ただ、医師になるにしろ、できれば中国の歴史に関係する勉強がしたいと思っていたことから漢方医学に興味を持ち、当時、日本で唯一漢方の講座があった富山医科薬科大学に進学したのです。大学では和漢診療学講座の初代教授である寺澤捷年先生の授業を夢中で聞き、先生の人間性にも惹かれたこともあって、卒業後は和漢診療科に入局しました。
 研修中は、関連病院で内科や消化器内科の技術を学びつつ漢方診療も研修し、2011年に父から受け継ぐ形で福田医院の院長となりました。内科、小児科、漢方内科として、現在では0歳の赤ちゃんから90代のご高齢者まで、幅広い年代の患者さんを診ています。

まずは患者さんの訴えを聞き、共感する

 医院では、和漢診療学の基本的な考え方でもある「西洋医学と東洋医学の融合」を目指しています。病気によっては、西洋医学を優先したほうが患者さんのためになるものもありますし、反対に、西洋医学では治りにくいもの、西洋医学と東洋医学の合わせ技でなんとか良くなるものもあります。
 例えば、高血圧や心筋梗塞、がんなど、西洋医学での治療法が確立している病気や、緊急度の高い病気、手術が適応になる病気は、漢方より西洋医学による治療が適していると考えられるため、西洋医学による治療をおすすめします。
 でも、患者さんによっては「高血圧を漢方で治したい」とおっしゃる方もいます。その場合は頭ごなしに否定したり強制したりはせず、まずは患者さんの話をよく聞くようにしています。なぜ西洋薬の降圧剤を使いたくないのか、その背景を知ることが大切だと思うからです。「降圧剤を飲み始めたら一生飲み続けなければならないから」「西洋薬を飲んだら副作用が出てしまったから」など、理由はさまざまです。そういった場合は、状況が許すなら、食事指導や運動療法、漢方薬を使った治療から始めることもあります。それで血圧が安定すれば何よりですし、効果が出ない場合は、その上で西洋薬を提案すると、患者さん自身も納得して治療を受け入れられることもあります。患者さんの考えを尊重しながら、病気を治すために医師としてどんなお手伝いができるのかを考えています。

西洋医学と東洋医学、それぞれの強みの活かし方

 漢方は、病気だけ、悪い部分だけを見るのではなく、患者さん全体を見るという考え方で、西洋医学では対応できない症状を改善するという長所を持っています。例えば、夏場は、体の水分代謝異常による頭痛や吐き気の訴えが増えるのですが、その場合、体内の水分量を調節する利水剤として五苓散を処方することでよくなることが多くあります。
 また、冷え性は西洋医学では病気とは考えられず、したがって有効な治療法もありませんが、漢方薬で改善できることがあります。さらに、風邪をひきやすい、疲れやすいといった体質を改善したい場合には、補中益気湯や十全大補湯など、「補剤」とよばれる体の機能を活性化する漢方薬もあります。
 病院で検査をしても異常が見つからない、大学病院を何件も回ったけど原因がわからない、でも患者さんはつらい。そういうことは多々あります。西洋医学では診断がつかず、治療法が見つからない場合に、漢方薬ならその症状に対する薬を処方し、患者さんのつらさを解消することができるのです。それが漢方薬の、西洋薬にはない強みだと思っています。
 2年前からは院外処方にしていますが、隣接する薬局の薬剤師さんの協力を得て煎じ薬も処方しています。薬局で煎じたものをパッキングすることもできますので、この場合はご自宅で煎じ藥を温めるだけですぐに飲んでいただけます。また、また、薬局では自家製の桂枝茯苓丸という丸薬も処方していますが、シナモンが入っており、はちみつで練ってあるため服用しやすいお薬です。

2年前からギターはじめました

 研修医時代は、激務によるストレスや運動不足などで「ぽっこりおなか」になってしまったので、これはマズイとジョギングを始めました。最初は1km走ってもすごく苦しくて筋肉痛になりましたが、少しずつ距離を伸ばし、今ではフルマラソンも3時間40分ほどで完走できるようになりました。
 また、実は中学時代からギタリストの布袋寅泰氏に憧れていて、楽譜がまったく読めないのに2年前からエレキギターを習い始めました。未知の領域を一から教わるのはとても刺激的な経験で、通っている音楽教室の発表会ではバンドを組み、去年はBO?WYの「わがままジュリエット」、今年はレベッカの「フレンズ」を演奏。ステージで演奏するのは本当に気持ちがよく、今ではジョギングとエレキギターは、仕事と同様、自分の生活になくてはならないものになっています。
 このように、合間に自分の好きなことを楽しみながら、これからも漢方医として地域医療に貢献していきたいと考えています。開業医をしていると新しい情報を取り入れにくいことがあるので、学会に参加するなどして、常に最新の情報を取りいれるよう心がけています。また、近隣の先生や薬剤師さんと月1回、漢方の勉強会を開き、漢方の副作用や注意点を確認したり、症例検討をするなどスキルアップを図っています。当院は漢方専門医を目指す医師のための日本東洋医学会指定研修施設になっていますが、後進の育成も重要と考えています。

福田医院

医院ホームページ:http://fukuda.byoinnavi.jp

JR「八王子」駅北口よりバス「元八03・04系」、「西八王子」駅北口よりバス「元八21系」、「元八事務所」バス停下車すぐ。木のぬくもりと、先生やスタッフのあたたかさを感じられるクリニックです。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、小児科、漢方内科

福田秀彦(ふくだ・ひでひこ)院長略歴
2000年 富山医科薬科大学(現・富山大学)医学部卒業、同大学和漢診療学講座
2001年 成田赤十字病院内科
2003年 丹羽病院消化器内科
2005年 諏訪中央病院東洋医学センター
2011年 福田医院院長就任
■所属・資格他

日本東洋医学会専門医・指導医、日本内科学会、日本消化器内視鏡学会

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