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山下診療所 大塚 山下巌理事長

公開日:2014.09.10
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

西洋医学の常識をベースに漢方を活用

 漢方に興味を持ったのは医学部時代でした。もともとちょっとヘソ曲がりなところがあったというか、人がやらない分野に関心を持つことがあったので漢方にも興味があったのです。しかし、少し抵抗感もあり、結局、医学部時代には触れることはありませんでした。
 実際に漢方を使ってみようと思ったのは、当院で仕事をするようになり、医師会で催された月1回の漢方の勉強会に参加したのがきっかけです。その会で、東京・青山で開業している漢方で有名な稲木一元先生の話を毎月聞き、私たちが学んできた西洋医学の常識をベースに漢方薬を使っている姿に接して、「これなら自分にもできるのではないか」「患者さんにもいいのではないか」と思ったのです。稲木先生が当時お勤めだった渋谷診療所にも勉強させてもらいに行き、当院の治療にも漢方を取り入れるようになりました。
 実際に漢方を用いるようになり、より幅広く患者さんの症状に対応できるようになったことを実感しています。例えば、女性の更年期障害でほてりがひどい、だるいなどの症状がみられた場合、西洋医学では、婦人科や皮膚科への受診をお願いすることになります。しかし、漢方薬を用いることで患者さんが他の病院を受診する負担を減らすことができますし、正しく使えば効果も実感できて患者さんに喜んでいただけます。今では当院の治療に漢方薬は欠かせないものとなっています。

患者さんひとりひとりにとっての「最善の治療」を

 診療所では、「最新の情報」「最高の技術」「最善の医療」を目標に掲げています。なかでも、患者さんひとりひとりに合う最善の治療とは何かということを真剣に考えていく必要があると思っています。例えば、末期がんでも「積極的に治療をしたい」「自分は闘う」と思う方にはそのための精一杯の援助をしますし、「静かに過ごしたい」という方にはそのための方法を検討したい。どちらか決めかねている方には、自分なりの人生観も含めて、じっくりと話をする中で一緒に選んでいければと考えています。
 まずは患者さんが何をいちばん望んでいるか、病気はもちろんのこと、これまでの人生や性格、考え方、環境などさまざまなバックグラウンドも含めてしっかり向き合い、知ること、話をすること。それをせずに、ただ自分の好きな技術を患者さんに押し付けるだけでは、医療のプロフェッショナルとは言えないと思うのです。
 漢方治療においても、ひとりひとりに合う治療を検討しています。例えば、一言で「風邪」と言っても、ひき始めの風邪もあれば、かなり悪化した風邪もあります。それに、患者さんによって症状も体質も異なりますから、すべての患者さんに複合感冒薬とうがい薬を同じように処方すればいいとは思いません。患者さんの風邪のタイプや症状などを見た上で、漢方薬をファーストチョイスすることも多くあります。
 治療法を選択する際は、「虚実」「気・血・水」など漢方の考え方も参考にしますが、ベースラインとしてまずは西洋医学的に病気を診断します。「西洋医学で原因や治療法が見つからないところに漢方を使う」というだけではなく、西洋医学で使える薬があっても、その患者さんには漢方薬のほうが適していると判断すれば選択します。例えば、低血圧で昇圧剤を使ってもあまりうまくいかない場合や、慢性胃炎で胃下垂が原因の場合など。そういうときに漢方薬を使うことでよくなることもある。西洋医学的に診断がついても、漢方でなければ治せないものは多くあります。

何事も過信せず勉強を続けたい

 漢方治療においては、患者さんそれぞれの体質など、統計データに当てはめられないものもあるため、いわゆる西洋医学的なエビデンスが得られていないものもありますが、きちんとした考え方に基づいて使用している医師たちの、「客観的に判断してこういう効果がみられた」という症例が多く集まれば、それなりに重みのある事実として考えられると私は思います。一方で、その効能について根拠がないものもあるようです。漢方を呪術的な医療という考えで取り扱うべきではないと思いますし、過信しすぎないことも大切だと考えています。
 また、患者さんに安心して治療を受けていただくためにも、最新の情報はつねに押さえておかなければなりません。そのためには常に勉強することが必要だと思っています。講演会や学会などで情報を得ることもそうですが、当院に勤務している先生方には、呼吸器や糖尿病、認知症など各領域の専門の医師がそろっていますので、そういった先生方と情報交換することで生きた情報が得られています。
 西洋医学のもつ科学的なエビデンスと、東洋医学の、はっきりとした診断がつかない症状にも対応できるフレキシビリティ。それぞれの良いところを融合させた医療を、これからも提供していきたいと考えています。

医療法人社団法山会 山下診療所 大塚

医院ホームページ:http://hozankai.com/ootuka-ika/

JR山手線「大塚」駅北口、都電荒川線「大塚駅前」駅北口より徒歩0分。駅のすぐ隣なので通院に便利です。
ゆったり座れるソファが置かれた明るい待合室で、待ち時間もリラックスして過ごすことができます。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、耳鼻咽喉科、小児科、アレルギー科、歯科、歯科口腔外科、小児歯科、矯正歯科

山下 巖(やました・いわお)理事長略歴
1989年 東京大学医学部医学科卒業 同大学附属病院第一外科
1990年 東京専売病院麻酔科、山下診療所勤務
1993年 東京大学大学院修了・医学博士 癌研究会附属病院頭頸科
2008年 山下診療所 理事長に就任
■資格・所属学会等

日本プライマリケア連合学会認定医・指導医、日本東洋医学会認定漢方専門医、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、臨床研修指導医、日本耳鼻咽喉科学会、日本アレルギー学会、日本免疫学会、日本口腔科学会、日本歯周病学会、日本口腔インプラント学会等

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