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東西医学ビルクリニック 齋藤竜太郎院長

公開日:2013.09.11
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

頭でなく体で漢方医療を学ぶ

 医師を目指したきっかけは、私の父が漢方の診療所をしていたことです。幼いころから漢方が身近なものとしてあり、風邪をひいたときなどは、父が処方してくれた漢方の薬を飲んだり、お灸をすえてもらったりして治った経験もあったので、漢方医になる土台はできていたのだと思います。
 子どものころから動物や自然が好きで、獣医に憧れたり、海洋学や考古学、林学などに興味を持ったりもしましたが、最終的には医師になると決めました。すごく強いモチベーションがあったとか、父に強制されたとかではなく、自分にとっては「自然な流れ」で漢方を学び、医師の道を選んだという感じでしたね。
 医学部時代には、勉強すればするほど東洋医学と西洋医学のギャップを感じ、とまどったこともありました。でも、漢方で治療を行うにしても、というより、行うためにも西洋医学をしっかり学ぶ必要があると思ったのです。そのおかげで今、クリニックでも西洋医学と東洋医学、それぞれの長所を取り入れた医療を提供できているのだと思います。
 漢方を学ぶにもとても恵まれた環境にいました。医学部時代から父の診療所で煎じ薬の調合を手伝ったり、いろいろな漢方の先生についたりして勉強することができました。医師だけでなく、薬剤師や整体師、鍼灸師などいろいろな先生がいたので、教科書を使って頭で勉強するのではなく、実践の場で、体で学んでいたという感じ。その経験は自分の財産になって、現在のクリニックでの診療スタイルのベースにもなっています。

東洋医学を柱に、西洋医学の長所も

 東洋医学にも、西洋医学にも、それぞれ長所と短所があり、それを正しく知った上で、もっとも有効な治療法を患者さんに提供することが大切だと考えています。
 クリニックでは、急性疾患など、明らかに西洋医学による治療のほうが患者さんにとってよいと思うときはそちらの治療法を選択します。例えば、感染症なら正しく抗生物質を使ったり、早期のがんには手術をしたりなど。糖尿病とか高血圧でも、検査の数値が悪いときは西洋医学の薬を使うことで病状をコントロールしやすくなるといったことがあると思います。
 一方で、病院で検査をしても異常は見つからないのに、体調がよくないということも意外に多く、そういった症状には漢方が有益なこともあります。がんや生活習慣病を治すことは不得意でも、病気や治療にともなって起こる体のだるさやむくみを軽くしたり、しびれをとったり、食欲が出したり、痛みをやわらげたりして、患者さんのQOL(生活の質)を高められる可能性はあると思います。また、最近増えている心の病気やアレルギー性の病気のコントロールにも、漢方が役立つ可能性を感じています。

「人を診る」が必須要素

 現在、クリニックには1日70~80人ほどの患者さんが来院されます。男性より女性のほうが多い傾向がありますが、これはおそらく、女性のほうが「感覚」を大事にするというか、自分の体の変化に敏感で、自然なものを求める気持ちが強いためではないかと思っています。
 診療においてはまず、東洋医学的な視点で患者さんと向き合うことを心がけています。東洋医学的な視点とは、病気だけを診るのではなく、心と体を含め、その人のすべてを診るということ。その患者さんの考え方を知ることも重要です。
 今の時代は情報量も多く、それゆえ自分ならではのこだわりを持つ方も多いもの。こちらの考える医療を押しつけるのではなく、まずは何がつらくて、何を求めてクリニックに来ているのかを理解し、治療法を提案する。「一緒にやっていきましょう」というスタンスがいいのかな、と思っています。
 最近、オーダーメイド医療という言葉を耳にしますが、東洋医学はまさにオーダーメイド。同じ病気でも、AさんとBさんでは治療法も処方される薬も異なります。ひとりひとり、例えば体質や考え方、生活習慣…、どんな食べ物が好きとか、お酒は飲むかとか、運動習慣はあるかなどに加え、性格や周囲との人間関係、何か困ったことがあったときにすぐ相談できる人がそばにいるか、など、さまざまなところを見て、話を聞いて、診察しながら治療法や薬を考えていきます。
 そのため、診察に時間がかかってしまうこともありますが、その時間は治療に必要なことなのです。そうやってその人のすべてを見ながら「その患者さんにとっていちばんいい治療法」を考えることにやりがいを感じますし、それがこの仕事のいちばんの醍醐味だと思っています。

完結させずに、可能性や治療法を探し続けたい

 私はこの仕事が好きなので、毎日意欲的な気持ちで仕事に取り組んでいますが、ごくたまに、例えば雨の日の午後などにちょっと深刻な状態の患者さんが重なってしまったりすると、こちらの気持ちもやや落ち込んでしまうことも。そういうときは、なるべく気持ちのうまく気持ちの切り替えをしたいな、と思っています。疲れたり、ちょっと落ち込んだりしても、パッと気持ちを切り替えられれば早く回復できますから。
 私の場合は、親しい人とちょっとお酒を飲んでおしゃべりするとか、読書をするとか、そういうことが気分転換になっています。また、自然と歴史が好きなので、例えば今だったらドラマで話題の会津とか、歴史もあって食べ物もお酒も美味しくて、自然が豊かなところに旅行に行くなども、リフレッシュになりますね。
 そういった自分の時間を大切にしながら、これからも東洋医学的診療をもっと深めていきたいと思っています。続けていくほどに新たな発見ができたり、今まで見えなかった治療法などが見えてきたりすることもあるので、完結させずに探求し続けたいです。
 また、クリニックでは鍼灸や整体、気功などを取り入れた診療もおこなっているのですが、患者さんにとっていいと思えるものなら代替医療も取り入れていきたいと思っています。西洋医学もめざましく進歩していますが、東洋医学や代替医療の分野でも、まだまだこれから、その時代に即した新たな治療法に出会える可能性はあると思うので、楽しみです。正しい知識と技術をもって患者さんにより良い医療を提供できるよう、診療と勉強を続けていくつもりです。

東西医学ビルクリニック

医院ホームページ:http://www.touzaiigaku.jp/

「大宮」駅西口より徒歩5分。木のぬくもりを感じられる広い待合室で、診察までの時間をゆったり過ごせます。
詳しい道案内は、医院ホームページから。

診療科目

内科、心療内科、アレルギー科、皮膚科、整形外科、婦人科

齋藤竜太郎(さいとう・りゅうたろう)院長略歴
1996年 帝京大学医学部卒業 帝京大学付属病院川崎幸病院
1999年 医療法人社団東西会・東西医学グループ・東西医学ビルクリニック大宮副院長
2005年 同クリニック院長
■資格・所属学会他

日本整形外科学会専門医、日本東洋医学会、日本整形外科学会、日本統合医療学会、日本プライマリ・ケア連合学会、日本バイ・ディジタルオーリングテスト協会、等

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